二代目理事長の非常識な日本語学校経営 二代目理事長の非常識な日本語学校経営

※この記事は2019年1月~2020年1月に取材した内容に元に作成しています。そのため、現在の状況とは異なる場合がございます。

1限目
生徒募集1

安定募集のカギは、エージェントとの付き合い方

長野はゆったり勉強したい生徒が来ます

中村
中村
最近はどこも学生募集がスムーズにいかないと思うのですが、どのような取り組みをされているかお聞かせください。まず、松本国際日本語学校の生徒数はどのぐらいでしょうか。
太田
太田
松本国際日本語学校は定員数100名で、留学生以外の外国人学習者も含めて30名弱です。
諏訪の学校(長野国際文化学院)は定員数240名で、現在180名ぐらいです。
(※2019年1月現在)
中村
中村
教員と事務、学生募集担当者は何人ですか。
太田
太田
諏訪の長野国際文化学院は、専任講師が6名です。今後、8名まで増やしたいところです。非常勤講師は14名、募集担当は4名です。募集担当は、日本人、ベトナム人、中国人、インドネシア人の構成になっています。
松本国際日本語学校は、専任は3名、非常勤が5名です。
(※2019年1月現在)
中村
中村
国は、どの国籍が多いですか?
太田
太田
今は中国が一番多いです。中国が6割くらいですね。次がベトナム、インドネシア、フィリピンの順です。
中村
中村
卒業されたあと、帰国と大学進学と就職の割合はどのぐらいですか。
太田
太田
ほとんどが進学です。数年前は99%が進学でしたね。就職が出てきたのはここ2、3年ですね。帰国はほとんどありません。
中村
中村
やはり進学のための日本語教育という位置づけだからですか。
太田
太田
募集の条件に「進学希望の学生」が入っているからです。途中で就職に切り替わることもありますが、入学時は進学が100%ですね。
中村
中村
大学と専門学校の進学比率はどのぐらいですか。
太田
太田
東南アジア、特にベトナムの学生が増えたときは、専門学校が圧倒的に多かったです。今は中国の学生が多いので、大学が増えています。最近の学生は、ビザが下りやすい入管の地域を選んでいますね。
中村
中村
戦略的なんですね。
太田
太田
今は東京入管が厳しいですが、以前は名古屋入管が厳しく、大阪入管が厳しい時期もありました。

長野県は東京入管に属するのですが、なぜ地方の日本語学校を選ぶのかと言うと、留学生の中にはゆっくり勉強したい生徒もいまして。あとは両親が遊んでもらっては困るから地方で・・・という考えであるとか。
中村
中村
なるほど。進学先も地方が多いですか。
太田
太田
進学時に東京は行かないです。千葉や神奈川、埼玉には行きますが、東京は少ないです。
知り合いの東京の日本語学校さんに聞いたことですが、進路指導の時に一番困るのは、東京から離れたくない学生がいることのようです。地方のほうが人手不足で需要があるんですね。東京だと選択肢が一気に狭くなってしまうので。
中村
中村
御校は中国の学生が多いですが、どういったニーズで来られるのですか。
太田
太田
大連からの学生が多いのですが、大連市はそれなりに都会でにぎやかなんです。なので、やはりゆっくり過ごしたいという学生が多いですね。
中村
中村
ステータスを大切にする国民性ではあるけど、ゆっくり勉強したいという。
太田
太田
募集時にこういう場所です、と地域性を説明するんです。進学する時に東京に行けばいいと話はしています。

学生が入学しやすくするために、行っていることとは?

中村
中村
どの学校も学生募集が厳しいと思いますが、御校でも厳しくなっていますか。
太田
太田
入管法改正の影響もあって、やはり難しい時期に入ってきています。でも、新たな開拓もしていかないといけないので。ベトナムではあれば、今まではハノイ周辺を攻めることが多かったのですが、今はホーチミンに重点を置いています。

それから当校は、どの国でも学費の納入が半年分なんですね。まとめて1年分の学校が多いですが、半年にしています。その珍しさもあって、希望してくれる学生は多くいますね。
中村
中村
なぜ1年が多いのですか。
太田
太田
やっぱり不法滞在や行方不明防止の名目があるようですが、私たちとしてはそこまでしなくても。
中村
中村
それが抑制力になるわけではないと?
太田
太田
関係ないと思いますね。学生にとって1年分の納入は重荷なので、半年というところですね。
中村
中村
入りやすさがあるわけですね。

新規校が生徒を集めるには、何をしたらいいか。

中村
中村
新規校の場合、どのように学生を集めてらっしゃるのですか。
太田
太田
この学校は新規校なので、どこのエージェントに行っても嫌われます。でも、一応エージェントとのつながりは持っておく、紹介の有無に関わらず連絡先は必ず持っておくのが大切です。

そして、募集時期が始まったら必ず連絡をとったり、現地での説明会をお願いしたり、つねに連絡を取っていると、1社くらいは出てきます。
中村
中村
地道に時間と労力をかけて、という感じですか。
太田
太田
変わった募集の仕方ですと、こちらの新規校(松本国際日本語学校)では、前回他校で在留資格認定が不交付になった学生を募集しています。
中村
中村
不交付になった学生ですか。
太田
太田
不交付になった原因はさまざまですが、いちばん多いのがケアレスミスです。本来なら日本に来れたのに、人的ミスで来れなかった学生がいます。その学生に再チャレンジしてもらう形です。そこまでしてでも日本に来たい方だと、来日前にN4を取ってくれるんですね。
中村
中村
ほぉ。
太田
太田
どうしても日本に行きたいと、N5からN4にあげてくるんですね。現地で日本語学習を続けてくれるので、1回目の申請より意志がかなり強くなっています。
中村
中村
新規校の場合、特定の国に絞ったほうがいいですか。
太田
太田
そうですね。何人も各国の募集担当を入れるよりも、どこの国を攻めるか明確にするほうがいいですね。
中村
中村
募集担当の方は正社員ですか。
太田
太田
正社員です。新規校の場合、大変なのが経費関係の書類なんですね。
中村
中村
経費ですか。
太田
太田
保証人の300万円の残高証明書は簡単に出せます。ただ、その通帳も出せと言われるのですが、どこの国も簡単に出してくれないです。

韓国・台湾・シンガポールなど銀行の文化がある国は出しやすいです。中国はここ最近で、従来はタンス預金や一括でぽんっと入れることが多かった。ベトナムは正直難しいです。今年度に入学した4人のベトナム人学生は、通帳を出せたから合格したようなものです。

どのような国を対象にしていくかはポイントになると思います。

業界ではめずらしいSNS広告の活用

中村
中村
SNSで募集をされていると聞いてたのですが、効果はいかがですか。
太田
太田
Facebook広告を出して、それを見て連絡くれる方もいらっしゃいます。
中村
中村
学生と直接ですよね、エージェントを通さずに。
太田
太田
はい、直接のやりとりです。書類が分からなければ、エージェントを探してくださいとお伝えしています。自分でやりたい場合は、必要書類の一覧表をお渡しして、準備を進めてもらう感じですね。
中村
中村
手間としてはエージェントを通した方が楽なのですか。仲介料を考えると直接がいいですか。
太田
太田
手間を考えると、エージェントを通した方がいいです。ただ、どうしても通したくない人もいるので、その方には個別に対応、相談させてもらうことをしています。
中村
中村
あまりSNSを使っている学校さんを聞かないのですが。
太田
太田
されてるところもあります。簡単なお知らせがメインなのと、入学した学生に対して発信される学校さんが多いですね。
中村
中村
広告を出している学校さんは少ないですよね。
太田
太田
学生との直接のやりとりは困る、と言ってくるエージェントもいらっしゃるので。私たちもエージェントとの信頼関係を基本にしているので、エージェントさんに生徒の情報をお渡しします。

直接問合せしてくるのは日本人が多いですね。
中村
中村
日本人ですか?
太田
太田
多いのが、知り合いの外国人が留学したいと言ってるけど、どうしたらいいですか?という問い合わせです。そういう場合は、日本人の方に書類を準備していただくかたちでです。

気になるエージェント数やコミッション料

中村
中村
こちらの学校では何%くらいの在留資格認定交付が出てますか。
太田
太田
中国でいえば、今年(2019年)の4月は100%です。
中村
中村
すごいですね。
太田
太田
ベトナムは銀行の関係で落とされてしまったのですが、その情報を早く入手していれば対処できていました。それがなければ、全員下りてます。
中村
中村
そうですか、すごい。今、エージェントさんと何社くらいと繋がりがあるのですか。
太田
太田
ベトナムは20社〜30社ぐらいですね。中国は200ぐらい。他の国は1社や2社ですね。
中村
中村
少しずつ繋がりを作ってらっしゃるんですね。
太田
太田
全社が毎年必ず紹介してくれるわけではないので。
中村
中村
エージェントに支払うコミッション額の相場はどのぐらいですか。
太田
太田
噂によると、新規校の相場が上がっているようですね。うちは安いと思います。
中村
中村
どのくらいですか?
太田
太田
今の中国は最低20万〜なのですが、私たちはこれまで10万円だったのを、今年(2019年)から15万円にしたんですよ。もう少し上げてほしいと要望があって(笑)。
中村
中村
ベトナムの方は?
太田
太田
ベトナムは10万円です。相場としては15万円ぐらい、多いところは20万円と聞きます。高騰してきていますね。
中村
中村
ちゃんとエージェントを選んでらっしゃるのですね。

その学校に来たいからエージェントを探す?

中村
中村
なぜ、そんなに安くお付き合いができるのですか。
太田
太田
先ほどの学費が1年払いでなはなく、半年払いなのはあります。
あと、4月から民間アパートを借り上げて、全部備え付けで家賃25,000円くらいにする予定です。定期代込みで。
中村
中村
定期代込みですか?
太田
太田
はい、電車通いであれば定期を渡してあげようと。定期購入するのも大変ですし、再購入も忘れてしまうので。そういう問題が出ることも想定して。1部屋2人なら、実費は2万円ぐらいですかね。諏訪の学校(長野国際文化学院)では、最安で月17,000円です。
中村
中村
その安さも影響しているんですね。
太田
太田
既存生徒からの紹介もあります。「友人がこのエージェントから申請するので、先生、友達を合格させてください」って(笑)。

学生が学校を選ぶのが、一番なんです。エージェントには「この日本語学校に行きたければ、うちに来てくださいと宣伝ができるよと」お伝えしています。当校で学生からの不満は一切出ないようにします、と話はしています。

ベトナムでは、宣伝なしにつねに100人くらいは集まっていました。「この学校に行きたい!」と。
中村
中村
すごいですね。
通常はエージェントが学生を探して、日本語学校に紹介する流れなのが、この学校に入りたいから対応しているエージェントを探すという流れは、逆ですよね。
太田
太田
そうですね。諏訪の学校(長野国際文化学院)ではそうやってつながってきました。この新規校も同じように、人とのつながりで学生が集まるようにしていきたいです。新規校の場合、中国ではエージェントへのコミッションが30万、40万という話も聞きました。ベトナムでも30万円は払うという。
中村
中村
学校に残らないですよね。
太田
太田
そのしわ寄せが、結局人件費に来るので。そうなると授業を20コマ最大持つことになったり、無計画で一気に60人、80人の生徒募集をしたり、大混乱になりますよね。

ですので、その部分はエージェントにも充分理解してもらって、もしそれが合わないなら紹介先は当校でなくてもいいですよ、とはお伝えしています。

そうすると、学生がそのエージェントを使わなくなるので、学生からも費用をもらっているエージェントは売上ゼロになってしまうので、逃すわけにはいかないという。全部そうやってつながってきますね。
中村
中村
エージェントにも割と強く言える立場ということですね。

生徒募集を安定させるエージェントの付き合い方

太田
太田
ある程度、対等に話はさせてもらっています。

ただ、学生を紹介してもらって終わりではなく、例えば成績表をエージェントを通して、海外のご両親に郵送したりしています。紹介してくれた学生の成長ぶりを確認してもらう意味で。そうするとエージェントもやりがいを感じますよね。
中村
中村
素晴らしいですね。どうしてもエージェントが強気になってくような立場かなと思うので。
太田
太田
そうですね、正直言うと、エージェントの方が強いです。新規校だとコミッション料はいくら?から始まるので。
中村
中村
やっぱり多いですか。
太田
太田
エージェントとつながりを続けるために、年に何回もあいさつに行ったり、募集期間外にも会いに行っています。こちらに協力できることがあれば、協力させてもらってます。見えないところでも信頼関係をつくろうと。

学生募集が安定している学校は、こまめにあいさつ回りをしていて、コミッション料も高くないんですよ。私たちと同じくらいです。
中村
中村
人とのつながりが大切なのですね。
太田
太田
400〜500人規模の学校ですが、それだけで安定していて、新規のエージェントはすべてお断りしています。ですので、今その部分を改めて強化しているところです。
中村
中村
言葉の壁はどうされてるんですか。

エージェントと一緒に募集に回る?

太田
太田
一応、通訳も入れてていますが、日本語を話せるエージェントのほうが多いですね。中国には中国の職員がいますし、英語圏であれば英語で対応可能なので。

エージェントと一緒に募集に回ることもあります。ある学校とアポイントを取れたので、一緒に説明会行きませんか?と誘うんですよ。学生との接点を用意する代わりに、もし当校に来たい学生がいたら必ず紹介してくださいね、と。当校を希望しない学生は、お好きなようにと伝えます。

そこまでやると、エージェントも信用してくれるんですよ。わざわざ自分のために動いてくれる日本語学校があるんだなと。
中村
中村
そこまでやってくれたら、エージェントも喜びますね。
太田
太田
他の例ですと、インドネシアにあるエージェントに近い日本語学校は、生徒募集が弱かったんです。一緒にインドネシア各地を回って、当校に来たい学生は、日本に来る前にこの学校で勉強してくださいね、と伝えたら、かなりの人数集まりました。
中村
中村
多くの学生は、来日前に現地の日本語学校で勉強するから、その学校の生徒を集めて確保しておけば、自然と流れてくる仕組みですか。
太田
太田
そうですね。あと、現地でN5も取ってほしいという思いもありますし。そういう形で、自分の学校のことだけ考えず、学生にもエージェントにもメリットになる流れをつくっています。

すべてがWin-Winになる仕組みにしたい

中村
中村
それだけエージェントのことを考えていると、信用が得られますね。
太田
太田
新規のエージェントですと書類がめちゃめちゃなので、わざわざベトナムに行って勉強会するんですよ。当校に限らず、他の学校でもこうした方がいいですよと。書類づくりは30年くらいやってますので、全部お伝えしています。

中国では新人研修の依頼が来たります。スタッフの転職で引継ぎがされないんですね。
中村
中村
すごいですね、顔が知られてて。
太田
太田
そうすると大きなエージェントさん限らず、これから書類を担当する先生とお知り合いにもなれるので、こちらとしてもメリットがあります。もし地方希望の学生さんがいれば、当校を紹介してくれないか、と話ができるようになります。
中村
中村
ぜんぶお金で解決しようとしているんではないですもんね。
太田
太田
例えば、コミッション料30万円で多くの生徒が集まるとは思いますが、ただそれで教育なのか?と思うこともあります。あまり学生からお金を取らないようにしてください、とは伝えています。学生の負担が大きくなってしまうので。

その代わり負担がなくなる方法としては手伝いしますよと。そうしないとお付き合いができなくなってしまう
ので。
中村
中村
すごくエージェントにも気をかけながら関係性を築いてらっしゃいますね。
太田
太田
そうですね。ベトナムのエージェントに関して言うと、例えば現地の高校で説明会をする場合、私たちは高校に入れますが、エージェントは入れないんですね。

その説明会で仮に留学希望者が10人いたら、2人ずつを5社のエージェントに紹介してあげます。エージェント料はきちんと払う代わりに、普段の費用より下げてくださいという形で。
中村
中村
ほんとに素晴らしいとしか言葉に出てこないです。
太田
太田
どこかが損を被るのが嫌いなので、一番いい方法を考えるようにしています。すべてウィンウィンな関係を築けるような状態にしていきたいですね。

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余裕を持って長期的視野で検討されることをオススメします。

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