日本語学校にやってくる留学生の3パターン
「日本語学校」に入学する留学生には、ザックリと分けて「本来型留学生」「出稼ぎ型留学生」「中間型留学生」の3パターンに分かれます。
日本語学校の設立を考えていらっしゃる方は、学校の理念に沿って入学して欲しい留学生のタイプが決まると思いますので、学校を運営していくうえでは、欠かせない要素となります。
どんな日本語学校にしたいのか、というところに大きく関わってきますので、留学生の性質を掴んでおくとイメージを沸かせるためにも、お役立ていただけたらと思います。
「本来型留学生」
カテゴリの名前の中に、“本来”というキーワードが入っていることもあって、お察しいただけるかもしれませんが、本来の留学目的にそった勉学生活を送る留学生のことを指します。
例えば、
- 日本の大学、大学院などの進学を目的をして、日本語学校の進学コースに在籍をする者。
- 自国の大学卒業後で、日本でのキャリア形成を視野にして、ビジネス日本語コースに在籍する者。
これらの目的を持っている留学生は、この「本来型留学生」に分類されます。要するに、勉学、キャリアアップを目的としている留学生は、本来の姿であるとされています。
「出稼ぎ型留学生」
“出稼ぎ”とは、所得の低い地域や就職先の少ない地域に在住する者が、単身で所得が高く就職先も多い地域で就労すること(※[wikipedia] https://ja.wikipedia.org/wiki/出稼ぎ)で、日本語学校に在籍したい理由が勉学を目的としておらず、金銭を稼ぐことが目的となっている者になります。
働きながら在籍するので、日本語を純粋に学びたいという想いではないということになります。要するに、お金を稼ぐために日本に留学しに来ている者になります。
ですが、現在の日本では、アルバイトの合計勤務時間が週28時間以内と決められているため、十分に働くことができないという現実があります。留学生という立場では、出稼ぎができるほどの金額を得ることができません。
違法してしまう外国人もいるので、これを管理するのは日本語学校側も担います。管理ができなければ日本語学校としての信用を失ってしまい、運用が良好に行っていないとみなされてしまい、増員申請などができなくなる可能性も出てきます。
「中間型留学生」
「本来型」と「出稼ぎ型」の中間に位置している留学生が、この“中間型”になります。
先に述べた通り、日本にやってきた留学生は週に28時間しかアルバイトができませんが、限られた範囲内で生活費や学費を得ながら、日本語学習に対しても、ある程度注力をする留学生になります。
この中間型の留学生は、学問に支障がない程度にアルバイトを行い順調に進めば、大学・専門学校への進学を目指すという存在となっています。金銭面で余裕がないと思われるベトナム、韓国、ミャンマー、マレーシア、ネパールなどのアジア圏の留学生(中国は富裕層も多い為、ここに含まれない傾向にある)は、こちらの中間型留学生が多く見受けられる傾向があります。
コンビニや、ファミレスなどで見かけることが多くなった外国人は、こういった日本語学校に在籍している留学生であり、この外国人の労働力に、私たち日本人は助けられているという現状もあります。
まとめ
「出稼ぎ型留学生」に関しては、今後の国の方針である、外国人労働者の受け入れ拡大[※1]の動きがあるので、日本語能力がN4レベルで受け入れるという低い水準で、5年間出稼ぎできるということもあり、日本語を学ぶことを目的をしていない者にとっては、嬉しい話ではないかと思われます。
また、N4レベルになるまでは日本語学校に通って(受入れ条件による)、そこから労働者として卒業する者も出てくるかもしれません。また、進学を目的にしていたが進学ができず、日本語学校の2年間という期限がやってきてしまった者でも、日本語能力的にはN4レベル以上となるので、受け入れる者としては労働者として流れ、正式に雇用してくれるという可能性も考えられます。
現在の日本語教育機関には、留学生が78,658人(267,042人中)在籍しており(平成29年5月1日現在の留学生数[※1])、大学留学生と並ぶほどの存在となっています。留学生は、大学、大学院、専門学校とカテゴリが並んでいる中、日本語教育機関があるのです。これらと比べて、教育の内容はどうなのか?という問題が今後の課題となってきています。
これらの傾向を考えると、日本語学校の質の高めるには、受け入れる留学生の質も高める必要があると考えられます。日本語学校としては、本来の目的である、“日本語”を学んでもらう留学生である「本来型留学生」の選別を厳格にし、「中間型留学生」が多くを占める学校では、日本語教育機関として、より一層確立された質の確保、向上を図ることが求められる時代となりそうです。
参考サイト
[※1]外国人労働者の受け入れ拡大 新在留資格創設
https://mainichi.jp/articles/20180616/k00/00m/020/111000c#cxrecs_s
[※2]平成29年度外国人留学生在籍状況調査結果
https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2017/index.html