二代目理事長の非常識な日本語学校経営 二代目理事長の非常識な日本語学校経営

※この記事は2019年1月~2020年1月に取材した内容に元に作成しています。そのため、現在の状況とは異なる場合がございます。

2限目
生徒募集2

「集める」から「集まる」付加価値の時代へ

良い学生を見抜く方法

中村
中村
例えば、成績などの最低限の条件をエージェントに出してますか。
太田
太田
一応出すようにはしています。ただ、一番大切なのは本人のやる気なので。それを見抜けるかどうかですね。
中村
中村
現地でってことですよね。
太田
太田
はい。あとは最近ですと、入れ墨のチェックをします。
中村
中村
そこまでしてるんですね。
太田
太田
入れ墨があると、飲食店ではアルバイトできないこともあり、日本での生活に支障をきたしてしまうので。それも事前に説明しています。
中村
中村
学生とは必ず現地で会われるんですか。
太田
太田
必ず会ってます。説明会で会うのか、面接で会うのかどちらか選んでます。面接がスカイプのこともあります。
中村
中村
なるほど。
太田
太田
ただ、説明会があれば必ず来てもらうのは、条件の一つでもあります。説明をちゃんと聞いてほしいので。
中村
中村
親御さんには会われますか。
太田
太田
全員とはいきませんが、なるべく会うようにはしています。
中村
中村
やはり親御さんには会ったほうがいいですか。
太田
太田
会ったほうがいいですね。どういう職業か分かりますし、家族構成が一番大事なんです。出稼ぎのつもりでお金を出されても困るというのが正直ありますので。
中村
中村
家族構成ですか。
太田
太田
兄弟が何人いるのか聞かせてもらいます。ベトナムはふたりっ子政策を取っているので兄弟は多くないのですが、少し前の世代だと、兄弟が5人6人いてですね、お兄さんお姉さんみんな留学してます、とか。そうなるとちょっとう~ん・・・。
中村
中村
どっちかですよね。お金持ちなのか、出稼ぎ目的なのか。

現地にスタッフを置くことのメリット

太田
太田
そういうところも見極めれるかですね。ベトナムに専属でお手伝いしていただいている方がいるのですが、その方に親御さんに会ってきてもらってます。
中村
中村
ベトナムにスタッフさんを置いているのですか。
太田
太田
自営の本業とは別に、正式にお手伝いをしていただいている形です。
中村
中村
現地にそういった方は必要ですよね。
太田
太田
あったほうが何かと便利ですよね。出張時に全部アポイント取れているので。
中村
中村
現地でやってもらって。
太田
太田
はい。あと、トラブル時もその方を通してエージェントに連絡を取ってもらうこともできますちゃんとしたエージェントなのか事前に分かるメリットもありますね。最初は情報がまったくないので、今までの背景を調べてもらったりとか。
中村
中村
現地の方同士だからわかることもありますよね。
太田
太田
そうですね。現地に情報サイトで会社の評判を調べてくれるので、訪問の判断ができますね。ベトナムですと国営企業を謳いながら実際は国営でない、ということもあるので。
中村
中村
そういうこともできるんですね。
太田
太田
現在はベトナムにしか担当者はいませんが、他の地域も増やしていきたいです。
中村
中村
どんどん広げるのも着実にやってらっしゃって。

日本での勉強をスムーズにするために、将来は海外で日本語学校を持ちたい。

太田
太田
できることなら将来的には、海外の方で日本語学校を持てればと思っています。
中村
中村
そこまでお考えなんですね。
太田
太田
そうですね。それも、日本人の教師が日本語を教える学校です。皆さん、現地でN5が受ければ勉強を続けないこともあるのですが、来日まではある程度勉強を続けてくれないとスムーズに入れない、というのはありますので。
中村
中村
日本に来てから。
太田
太田
来日ギリギリまで勉強してほしいのが本音なので、そういう場を作れたら一番いいかなと。夢ですけれども。
中村
中村
来る前の日本語力は大切ですか。
太田
太田
日本語力というよりも本人の資質の方が、ですね、全然できなくても伸びる子はすごい伸びますし、はい。
中村
中村
生徒の資質の見極めも現地でされいるのですか。
太田
太田
一応試験をやってもらうのですが、その時ダメだったのが、日本で環境が変わってできるようになる子もいますね。なんとも言えないんですよ。だから、海外に日本語学校を作れば、資質の点でも長い目で見られるかなと。

面接や説明会で会うにしても、1時間以内の短時間なので、本質を見抜くのはほぼ無理です。じゃあ、どうやって見るかと言うと、紹介元の信用度であったり、学生本人の目的意識などで判断して、日本語の勉強ができていなくても、今後勉強の意思があれば、試験や面接で落とすことはありません。申請時に勉強していなかった学生は、実際に断るケースもありますが。

留学を夢で終わらせないために、現実的な話もしっかりする。

中村
中村
説明会ではどういう話をされるのですか。
太田
太田
基本的なことはもちろんですが、現実的なマネープランも説明します。日本での生活費、学費や進学の費用、アルバイトの規定時間や平均時給、夏休みの大まかな勤務期間などです。その中で、ペイができるのはこの程度で、後は各自の負担になるということ全部説明します。

週28時間のアルバイトであれば、学費分まではなんとか収まりますが、かなり節約をする必要があるんです。それができるかどうか。
中村
中村
来る前にお話をされるんですね。
太田
太田
事前にしていかないと、話が違うと言われても困りますし、現実も含めた内容をしっかり伝えたいんです。夢で終わったらいけないので。現実面まですべて説明すると「学生が集まらないんじゃ?」と思われがちですが、むしろ学校への信頼度が高まりますね。
中村
中村
なるほど。
太田
太田
甘い話で騙される人が多いので、本当のところを伝えてあげる。甘い言葉はあまり言わないようにしています。ただ、ご両親の半分負担で、残り分は自分でカバーするようなマネープランを立てれば、日本での生活は苦しくない、といったお話はしています。

私自身が留学生だったので、その経験もあって現実的な面も含めて、どうしてあげればいいかと考えていますね。
※中国への留学経験あり
中村
中村
皆さんのお気持ちも考えながら。配慮が行き届いていますね。

入国日を指定して、学生をお迎えに行く。

太田
太田
例えば些細なことですが、来日の際に入国する日を指定して、お迎えしています。その足で、まず足りないもの買いに行きます。
中村
中村
いいですね。迎え入れてくれてるって気持ちになりますね。
太田
太田
日本に着いてからが心配ですね。長野県までたどり着くのも大変ですし、道に迷うこともあるので、お迎えに行っています。こちらもとしても、入国日が統一されて分かりやすいメリットもあります。
中村
中村
個別に対応するより効率的ですね。
太田
太田
入国日が同じだと、ビザの有効期限がみんないっしょになるので、管理もしやすいです。あとは生活用品の購入に1万円いただいて、すぐに自炊できるように料理セットを一人ひとり用意しています。
中村
中村
至れり尽くせりですね。

今後、日本語学校はどんな付加価値を付けていけばいいのか。

中村
中村
今後、生徒を増やしていくために、日本語学校はどのような方向性に進めばいいと思われますか。
太田
太田
日本語学校は、ビジネスとして弱いほうだと思うんですよね。ですので、付加価値を付けていかないといけないですね。ある学校さんは進学校にするために、授業料は高いですが、日本留学試験の高得点を目指すためのコースを作っているんですよ。有名私立大や国公立大に合格できるコースです。年間の学費が百何十万とかかかります。もう倍に近い学費です。そういう付加価値が今後増えてくるのかなと思います。
中村
中村
東京だと中国の学生が日本語学校も行きながら別に塾にも通っていますが、長野県でもそういう傾向はありますか。
太田
太田
長野県はないですね。でも、今後そのような学生が増えてきた時にどんな対応をしていくのか、例えば進学塾とのタイアップも検討するとか。募集の対象から練り直していかないといけないので、少しむずかしい部分もありますが。

大学とのタイアップや在日外国人にも広げていく。

太田
太田
私たちは今、大学とタイアップしているんですね。
大学が直接入国者を受け入れているのですが、募集時の条件がN2相当なんです。N2未到達の学生がいれば、3ヶ月や半年の短期滞在をしてもらい、私たちが受け入れて日本語学習をしてもらっています。短期滞在ビザなので、必ず下りるんですね。
中村
中村
短期滞在の学生の受け入れは、次に繋がったりするんですか。
太田
太田
大学とのタイアップなので、大学に進学するんですね。直接のメリットはないですが、当校の存在を広げてくれます。
中村
中村
なるほど、口コミで。 クラスは別に立てるのですか。
太田
太田
大学クラスを別に立てています。 だいたい10数名くらい入ってきます。留学ビザじゃないのでアルバイトもしなくていいし、寮もこっちで用意する必要もないですね。そういう売り込みも日本語学校として重要なのかなと思います。

今、外国籍の児童の日本語教育は自治体頼みになっているので、そのあたりへのアプローチも一手なのかと。
太田
太田
どうしてそれ思いついたのかと言うと、浅草の方に留学生ではない外国人向けの日本語学校があるんですよ。200人くらい在籍していて、学費は月5万円ぐらいなんです。月額でかなりの金額です。

で、カリキュラムの縛りがないので、教える方も日本人ボランティアを活用したり、日本語教師なら自由に教えることができるんです。ビザを取る必要もないし、募集する必要もない。その学校さんを見て、在日外国籍の方を受け入れられる形を考えています。
中村
中村
なるほど。留学生向けの学校はあるけど、在日外国人が日本語を勉強する場所はあまりないので、需要はありますよね。
太田
太田
私たちは3ヶ月コース・半年コースなどの縛りをつけるのではなく、いつやめてもいいですよ、という形です。入学金は受け取らず、月謝プラス必要な活動費のみにしています。本人はいつでも辞めめれるので、目標が立てやすくなるんですね。

こちらとしても、「この教科書1冊が終わった頃に辞めます」と伝えてくれれば、辞める時期が分かるので目処が立てやすいんです。人数が減るタイミングを知っておかないといけないので。
中村
中村
入学しやすい環境を作っているんですね。
太田
太田
留学生以外が入りやすい仕組みを作るようにしています。

中国、モンゴル、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア以外は厳しい

太田
太田
そうですね。ならアフリカに行くかと言えば正直・・・(笑)。
中村
中村
ミャンマーはどうですか?
太田
太田
ミャンマーも交付率が悪いんです。モンゴルはかなり良くなってきています。アジアで言うと、中国、モンゴル、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、これら以外は厳しいですね。バングラディシュは、今は東京入管がストップをかけています。
中村
中村
入国ができないですもんね。
太田
太田
そもそも入国できないので、どんな活動をしてもその入管にいる限りはゼロです。ですので、いまやっていることは、既存ルートでの獲得に加えて、高校生へのアプローチを強化しています。
中村
中村
なるほど。
太田
太田
高校生へのアプローチは、他校と併用の形で考えたりしています。知り合いの日本語学校さんと共同で留学フェアを開けば、ある程度囲い込めるので。

東京は東京ブランドがあるので、まだ募集が楽ですよね(笑)。安定してると思いますが、東京だけで日本語学校が300校近くあるので、学生がそれらの中から1校を選ぶとなると競争が激しいです。逆に長野県は7校しかないので、選びやすい状況にはなっていますね。

各国の審査基準がコロコロ変わる、不確実な状況に

中村
中村
沖縄には日本語学校が10校と意外と多いですよね。
太田
太田
沖縄はここ4年で一気に増えました。沖縄入管はネパールの交付率がほぼ100%の時期があって、その時に増えたんです。でも、いまはネパールの学生はかなり不交付が増えてしまいました。入管によって本当にコロコロ変わるので。
中村
中村
入管の事情はいろいろ変わるので、飛びついてはいけないなと思いました。沖縄がネパール100%だから沖縄に作ったら、今度は絞られるという。
太田
太田
やはり調整している感じが伺えます。
ある専門学校さんは、4月生の在留資格認定証明書交付申請の結果が出たのですが、全員不交付でした。理由は卒業証明書だったんですね。ベトナムは卒業証明書がすぐ発行されず、数ヶ月後に取りに行く形なんです。それでは間に合わないので臨時証明書を提出するのですが、普段それでOKなのに、いきなりダメになって全員不交付・・・。
中村
中村
こわいですね。
太田
太田
単純に落としにかかっているのではとも思ってしまうほどです。臨時証明書は正式な書類であると教育庁から出てるので、それがダメな理由はないはずなんです。それが突然ダメになってしまった。その日本語学校さんは、交付率が22%だったようです。
中村
中村
22%ですか!
太田
太田
もう10年以上やられている学校で、(1年間の不法残留者が)3%以下の適正校です。僕らも何を管理していいのか・・・。

厳しい状況でも、残る学校は残る。

中村
中村
こういう情報はなかなか入ってこないんですよね。入管自らが「この書類はダメです」言ってくれないですし。だから、やはり学校間のつながりはすごく大事ですね。
太田
太田
そうですね。ですので、留学フェアでは情報共有のために、必ず他校さんに挨拶します。普段からメールやSNSで「こんなことありましたよ」と情報交換は頻繁に行っていますね。昔以上に情報が錯綜しているので。東京入管はダメだけど、大阪入管はフリーパスだったよというのもあります(笑)。

「大阪は写真さえあれば通りますよ」と言われると、真面目に書類を集めてくださいと伝えてる私たちからすれば、何も言えなくなってしまうんですね。
中村
中村
大阪を選んでしまいますもんね。
太田
太田
入管によって全然違います。大阪のある学校は、すべての国で交付率90%以上と言ってました。東京入管では2期連続全滅だった学校もあります。これまでスリランカ、ネパール頼みだったのが、まあ大丈夫だろうと思って出したらダメだったという。
中村
中村
その年がダメでも、次が大丈夫だったりしますもんね。
太田
太田
それに賭けてみたらしいんですけども、全部ダメだったようです。 3、4年前は募集活動しなくても生徒が集まる時期だったので、その時に新規校を立ち上げておけばと正直思いますが、なんとか生き残る術をそれぞれの学校さんはお持ちだと思うので、いろいろ改善していけば残れるはずです。

残る学校は残る、残ってはいけない学校はなくなっていく。そういう時期になっていくと思いますね。厳しい状況でも残っている学校は、しっかりしている証拠でもありますし、そう感じてもらえると思っています。

そこまで体力が続くか正直不安もありますが、2~3年後、適正校をもらってからが勝負になりますね。

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余裕を持って長期的視野で検討されることをオススメします。

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