なぜ「日本語学校」は日本語専門なのに、専門学校扱いにならないのか?
英語や中国語などの専門学校(専修学校)を設立することは可能なのですが、日本語の専門学校を設立することは、日本国内ではできないという、不思議な制度が存在します。
他の専門学校があって、その中に日本語学科を設けることは可能ですが(ただし、東京の場合には、語学系専門学校、以外の専門学校の中に日本語学科を設けることができません)、目的である日本語学校を行うために、他の専門学校を設けなければならないというのは、設置者としては厄介な問題ではあります。
では、どうして日本語学校が、面倒なポジションなのかを、ご紹介します。
学校教育法の日本語学校
「学校教育法 第11章 専修学校(抄)」の中に、専門学校(専修学校)についての内容が書かれています。
我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除く
この内容は、「外国人」に日本語を教えようとする学校は、「専門学校(専修学校)」になることができないということが、決められていることになります。専門学校にならない学校は、一体何というカテゴリに分類されるのか?
その答えは、学校教育法 第12章 第134条に書かれています。
学校教育に類する教育を行うものは、各種学校とする
とされ、専門学校になれない日本語学校の原因はここにあります。
更なる問題は、外国人を扱うという点にあります。
文科省が考える外国人を扱う学校
外国人を扱っている学校というのが、日本語学校の特徴です。文科省が考える外国人学校は、インターナショナルスクールを含んでおり、法令上特段の規定は存在していないのだが、外国人学校とは、児童生徒を対象にした学校であるとされています。
また、「我が国に居住する外国人を専ら対象とするもの」についてもクリアしていますが、外国人学校とは、初等中等教育とされているのが、現状となっています。
専門学校は高等教育に分類され、各種学校は中等教育として扱われているため、日本語学校で日本語を学びたいという外国人は、日本に居住していないし、高等教育者が対象となっているので、ズレが生じてしまっているのです。文科省から見た日本語学校は、一般的に含まれていないという状態なのです。
日本語学校の位置づけは、いったい何処にあるのでしょうか?
日本語学校の位置づけ
日本の法律にどこにも当てはまらない日本語学校は、法務省入国管理局にて、日本語教育機関の告示基準を定めています。その中に、
入学者の選考の部分には、入学希望者が仲介者、その他の留学準備に関与する者(以下省略)
としており、この“仲介者”とは、海外在住者のことであって、我が国に居住しておらず、留学のための査証を得る手続きを仲介する人としており、“入学希望者”も居住している者ではなく、海外から日本へやってくることが前提としています。
ここから法務省では、日本語学校の対象としている学生は、日本に居住している外国人を対象としていないということが、伺える記載がされています。ただの外国人ではなく、居住していない外国人が対象となっていることが分かります。
まとめ
このように、日本語学校は、従来の日本の教育に当てはまらない機関であるという、状態となっています。このような位置づけではありますが、日本語学校は教育機関であり、大学に進学する目的の留学生であれば、少子化の影響を受けている大学にとっても、その後日本で就職をしてくれる人材となってくれる可能性があるので、「日本の未来を支える機関」という、存在のひとつと言えるのではないでしょうか。
2017年から「日本語教育推進議員連盟」※が発足され、「日本語教育推進基本法」と呼ばれる新しい法律が準備されることになりました。いままでにない、学校の形である日本語学校について、関係者の誰もが感じている教育機関としての存在が薄い部分など、どうにかしていかなければならないと声を上げ、現時点での問題点、解決策などをより細かく固めていくような動きが出てくると予想されます。
※日本語教育推進議員連盟について
http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/02/20170224giinrenmei.pdf