日本語学校 文科省のヒアリング(面接)のポイント②
こんにちは。井上 駿佑です。
今回は日本語学校設立における最大の山場である、文科省主催のヒアリング注意点についての第2回目です。
まずは前回のおさらい(日本語学校 文科省のヒアリング(面接)のポイント①)からです。
前回のおさらい
前回はヒアリングのポイントとして、
- 日本語学校設立の趣旨、経緯、理念について
- カリキュラムの到達目標について
この2点についてお伝えしました。
①日本語学校設立の趣旨、経緯、理念について
①の“理念”は日本語学校の根幹であり、カリキュラムや教材の選択、教員の採用等、全ての要素の判断基準となるものであり、理念があってはじめて、学校の骨格が定まる本当に大事なポイントです。
②カリキュラムの到達目標について
②のカリキュラムは、そのカリキュラムの実現は本当に可能か、スケジュール的に無理はないか等の質問を受けた際に先生の今までの経験に基づいた根拠づけのある説明ができるかどうかがポイントです。
さて、前回のおさらいが済んだところで、直近のヒアリングである平成30年3月末分の申請に関する考察も含め、お伝えしていきたいと思います。
ヒアリングの体制の変更:面接官が1名から2名体制に
平成29年9月末分の申請から、ヒアリングの面接官である有識者(大学教授や既に開校している日本語学校の設置者、校長等)が2名体制となりました。
それまでの面接官1名体制の申請では、ヒアリングで指摘された点を補正資料で補い、今後の改善を示すことができれば、ヒアリングで想いを伝えきることができなかった学校さんも申請は通っていました。それは面接官が1名で、ある程度の裁量があったためではないかと考えております。
しかし、面接官が2名体制となり、実際の審査のプロセスは不明ですが、面接官各自の裁量が及ばなくなり、厳格な判断がなされるようになったのではないかと思います。
ヒアリングに関する考察と、これから日本語学校の設立を検討されている方へお伝えしたいこと
上記で述べたように、ヒアリングの体制が変更され、厳格な審査が行われるようになりました。平成29年3月末分の申請までとこれからの申請では求められていることに大きな開きがあります。
面接官1名体制では、質問内容に偏りがあった
面接官が1名体制の時は面接官が大学の教授であったり、日本語学校の校長先生であったりとさまざま。また、面接官の中でも財務面についての質問がほとんどで、設置代表者にばかり質問をする方もいれば、財務面については一切求めず、主任教員中心にカリキュラム構成について集中的に確認を行う方もおり、ある意味偏った審査が行われていました。
中国出身、進学塾の経営者の例
例えば、以前はこんなケースがありました。中国出身の進学塾の経営者の方で、財務面についての質問には的確に答えられるが、教育については、うまく答えられない方のヒアリングで、上記の財務面についての質問が多い面接官に当たり、無事に告示相当の結果を得ることができました。
このように以前は面接官との相性により、告示相当の結果を得ることができることがありました。
面接官2名体制では、包括的な質問への対応が求められることに
しかし、面接官が2名体制となり、これまでの偏った体制から、1名が大学教授と1名が日本語学校の校長のように、教育に関し包括的に問われるヒアリングになり、設置者、校長、主任教員がまんべんなく、要件を満たさなくては告示相当の結果を得ることができなくなりました。
面接官1名のヒアリングではしっかりと時間をかけて弊所で練習を行っていれば、本番でもある程度は対応することができ、告示相当の結果を得ることが期待できました。
しかし、2名体制のヒアリングとなってからは、今までお伝えしたとおり、完全に別物であり、練習では完璧に回答ができていた学校さんでも告示不相当の結果となることが出てきました。
ただ、告示不相当の結果も審査の形式が面接であり、ヒアリングの内容が得点化され、客観的にわかるものではない以上、面接官の主観が多分に影響してくることは間違いないと考えております。
よって、面接官の心情等も考慮し、面接官の指摘を寛容的に受け入れることや、指摘を受けた点を改善していく意思表示を示し、それを生かしていくことも告示相当の結果を得る上で重要であると思います。